歌劇「カプリッチョ」 (Theater an der Wien)

いつものルーティンで、夕方オペラの前に昼寝を試みるも少しまどろむだけで、ほとんどまともには眠れなかった。

今晩の会場は、Theater an der Wien。ここも7年前のGW以来。あの時はモーツァルトの「ミトリダーテ」だった。今回はR.シュトラウスの「カプリッチョ」。ところが時差調整に失敗したボヤけた脳みそには、冒頭の弦楽六重奏は格好の睡眠誘導となってしまった。休憩無しの公演が却って災いして、寄せては返す睡魔の波に勝てず最後まで回復出来ないままに終わった。本当に勿体無い事をした。

それでも、この劇場らしく元々の時代設定からは離れて、オーソドックスではない、一筋縄ではいかないグロテスクな演出だった事は夢の中の出来事の様に覚えている。

いずれにしても、この演目を「観た」とはとても言えないので、これ以上グダグダ書くのは止めておこう。

Monday, 2 May 2016    19:00   Theater an der Wien
 
CAPRICCIO

Play for music in one act (1942)
Music by Richard Strauss
Libretto by Stefan Zweig, Joseph Gregor, Clemens Krauss, 
Richard Strauss and Hans Swarowsky
Production of Theater an der Wien
 
Orchestra               Wiener Symphoniker
Conductor              Bertrand de Billy
Director                  Tatjana Gürbaca
Stage Design         Henrik Ahr
Costume Design    Barbara Drosihn
Light Design          Stefan Bolliger
Dramaturgy           Bettina Auer
 
Countess                Maria Bengtsson
Count                      Andrè Schuen
Flamand                 Daniel Behle
Olivier                     Daniel Schmutzhard
La Roche                Lars Woldt
Actress Clairon      Tanja Ariane Baumgartner
Monsieur Taupe     Erik Årman
An Italian singer     Elena Galitskaya
An Italian singer     Jörg Schneider
The steward           Christoph Seidl
Servant                  Sebastian Acosta
Servant Thomas    David Birch
Servant                  Stefan Dolinar
Servant                  Richard Helm
Servant                  Florian Köfler
Servant Marcell     Attila Krokovay
Servant                 Max von Lütgendorff
Servant                 Angelo Pollak
Dancer                  Agnes Guk

 

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Café Diglas im Schottenstift

昨夜は10時には寝入ってしまったけれど、夜中の2時に目覚めて、それから再び眠りに就けずに完璧に時差調整に失敗。頭がボーッとしたまま、8時近くになって朝食を摂りに適当なカフェを探しに出た。前日の肌寒さは変わらず、小雨さえパラつく始末。

Googleで出て来た一番近いところが、Café Diglas im Schottenstift。無理矢理日本語に訳すと「ショッテン小路のカフェ・ディグラス」というところか。

カフェ・ディグラスはシュテファン大聖堂の裏手にあるそこそこ有名なカフェだし、この店は以前は、単にCafé Schottenstiftと言ったらしいから、最近になってカフェ・ディグラスに買収されたらしい。

入口は驚くほど素っ気無い。中は、白い漆喰が壁から天井にかけてアーチを作って、Cafe Museumに似ている。雨交じりの週日の朝、客はまばらで驚く程静か。

裏手の中庭には木陰にテラス席が有って、晴れて暖かければ気持ち良さそう。正にそういう雰囲気を期待して来たGWのウィーンだったのに…

Café Diglas im Schottenstift
Schottengasse 2, 1010, Wien
http://cafeimschottenstift.at/

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◆暖かければこんな感じ

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久し振りに、春のウィーンへ

実は、今日はもう5月15日。GWにウィーンへ向かったのは2週間前の5月1日。日本に帰ってからも、もう1週間が経つ。GWが明けてすぐに出張となってしまい、戻ったのが昨日(14日)。ブログへのアップはこれからおもむろに取り掛かることにする。(記録の都合上、日付は遡って旅程に沿うことにします。)

前回、ウィーンを訪れたのは2014年の8月にザルツブルクから回った。春の(GWの)ウィーンは2009年以来7年振り。夏のウィーンも明るくて良いけれど、やはりコンサートやオペラはシーズン中でないとね。

今回、ウィーンへの往路にはオーストリア航空を使う。直行便なので乗継の無いのは良かったけれど、出発が1時間遅れて、さらに機内のビデオシステムの不具合とかで映画も見られず仕舞い。おかげで良く眠れたけれど、結局はその所為で時差調整が上手くいかず、後々勿体ないことになる。

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夕方、ウィーンについてみれば気温は10℃を割り、春というには程遠い陽気。リンク通り沿いのウィーン大学に程近いホテルに旅装を解いて、夕食を摂ろうと近くのカフェ(Cafe Landtmann)に入った時には、もう8時を回っていた。

勿論、この時期のヨーロッパに来れば、何は無くともホワイトアスパラガス。ハムとジャガイモの付け合わせでシンプルにいただく。実は、店も料理も7年前のウィーンの時と同じ。

グラス1杯の白ワインで、もう眠くなる。成田からの飛行機の中で、いつもにも増してたっぷり寝たはずなのにもう10時前には寝入ってしまった、のだけれど…

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ザルツブルク音楽祭 2015:歌劇「イル・トロヴァトーレ」

昨夜の「イル・トロヴァトーレ」、やはりネトレプコが凄かった。

 
生は勿論、録音も録画も知らないままに昨夜を迎えたのだけれど、確かに凄い。どんな声も易々と出している様に思えるし、作品の性格もあって迫力が圧倒的だ。その昔し、オイストラフのヴァイオリンの音を評して「ベルベット・スティール」と言ったらしいけれど、正にその感じ。ベルベットの様になめらかで、鋼の様に強い。
 
他の主要キャストもネトレプコに負けじと熱演で素晴らしかったが、今日はネトレプコのことだけを記しておきたい。
 
とはいいつつ、昨晩の「フィデリオ」の後遺症で設定や装置も気になってしまうのだが。今回は何と美術館が舞台。物語の登場人物たちを擬した絵が並び、それらを見ていた美術館の職員(ネトレプコ)が絵に引き込まれ、ヒロインのレオノーラになり、他の人間たちも物語の登場人物に姿を変えて… 眼鏡をかけた地味な制服姿のネトレプコに萌える輩もいるだろうね。まぁ、この際それはどうでもいい。装置と衣装は、渋めの赤、ワインレッドに近い色が基調で統一感があって邪魔をしないのが良かった。
 
ネトレプコは40台の半ばに差し掛かっているが、今が全盛期なのだろうか。やはり時代を画する歌手っているんだな、としみじみ思う。この先また生で聞けるチャンスに巡り会えるかどうか判らないし、同じ様な感動を味わえるかどうかも判らないが、2015年にザルツブルクでネトレプコを観られたことは、それだけで十分幸せだ。
 
さて、今回のザルツブルク音楽祭見物はこれにて終了。「フィデリオ」の不満を帳消しにして余りあるネトレプコで大団円。この音楽祭に2年続けて来ることには「何様でもあるまいに」とためらいがあったけれど、思い切って来て良かった。
 
11 August 2015, 20:00 Grosses Festspielhaus 
 
IL TROVATORE 
Dramma lirico in four parts by Giuseppe Verdi 
Libretto by Salvadore Cammarano and Leone Emanuele Bardare  after Antonio García Gutiérrez’s play El trovador (1836) 
 
Gianandrea Noseda, Conductor 
Alvis Hermanis, Director and Sets 
Eva Dessecker, Costumes 
Gleb Filshtinsky, Lighting 
Ineta Sipunova, Video Design 
Gudrun Hartmann, Philipp M. Krenn, Associate Director 
Uta Gruber-Ballehr, Associate Set Designer 
Ronny Dietrich, Dramaturgy 
Ernst Raffelsberger, Chorus Master 
 
Francesco Meli, Manrico 
Anna Netrebko, Leonora 
Artur Ruciński, Il Conte di Luna 
Ekaterina Semenchuk, Azucena 
Adrian Sâmpetrean, Ferrando 
Diana Haller, Ines 
Bror Magnus Todenes, Ruiz / Un messo 
Matthias Winckhler, An Old Gypsy 
Members of the Angelika Prokopp Sommerakademie of the Vienna Philharmonic 
Concert Association of the Vienna State Opera Chorus  
Vienna Philharmonic
 

 

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ザルツブルク音楽祭 2015:歌劇「フィデリオ」

当地では、まだこの演目の公演は3回も残っているので、これから観る参考にこのサイトに来た方は、この先をお読みにならない様に。ネタバレ情報がありますので。

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それにしても、セットと演出のせいでこれほど興を削がれたのは初めて。
 
なんと、ザルツブルクの「フィデリオ」の舞台にモノリスが降りてきた。そう、あの「2001年宇宙の旅」のモノリスが。あの映画を観たことのある人なら覚えているだろうけれど、最後に近いところで、無機的な部屋にモノリスが置かれているシーンが出て来る。今夜の「フィデリオ」でも同じ様な白い壁に囲まれた部屋に大きなモノリスが降りて来て、それがゆっくり回りながら物語が進行する。登場人物は全てその陰から現れ、消えて行く。勿論、モノリスはメタファーなのだろう。本来の物語の舞台である監獄であり、それをもっと抽象化した抑圧であるのかも知れない。「でもなんで、敢えて映画と同じ様な趣向のセットにするのか?」という疑問が頭から離れない。ついでに言うと、黒いロングコートにサングラスの男たちが絡み合うシーンもあった。すぐに「マトリクス」が思い浮かぶ。
 
さらにヒロインであるレオノーレの分身なるものも出て来る。レオノーレが男であるフィデリオに身をやつす時、本来のレオノーレの女性としての部分を表す分身ということらしい。とは言っても、一緒に歌う訳にはいかないので、どうするかと言えばレオノーレ(フィデリオ)が歌う時、半ば踊りながら手話をしだすのだ。オペラを手話で伝える試みかと言えば、必ずしもそうは思えない。なぜならレオノーレのアリアしか表現しないから。
 
そういったことが、従来の設定・制約から解放して偉大な作品に普遍性を持たせる、といういわゆる「解釈」という方法論なのか? でも敢えて言えば決定的に許せなかったのは、本来ベートーヴェンが想定していない効果音まで使っていることだった。勿論、演奏に被せることまではしなかったが、呻きの様な軋みの様な効果音を多用していた。これは到底許し難いし、先の「解釈」なるものがひどく陳腐に思えた。
 
確かにカウフマンは素晴らしかった。でも、彼が登場するのは第2幕なので、それまでには「解釈」と効果音の「演出」に辟易してすっかり不機嫌になっていて、決して楽しめずに終った。それにカウフマンも最後にこけるし。最後の場面でレオノーレと手に手を取って解放に向って走り出したと思いきや、フロレスタン(カウフマン)がこけて幕が降りた。勿論それも演出なのだ。「フィデリオ」の最後が解放に終らないなんて、ベートーヴェンも怒るでしょ?
 
そんな公演だったから、当然ブーイングくらい出るかと思ったら、そんな事もなくいつもの様にカーテンコールが繰り返されたのには拍子抜け。ただ隣りに座っていた年配のご婦人は全く拍手をせずに立ち去った。同じ様に感じた人は少なくないはずだ。
 
という訳で、間違いなく忘れ難い「フィデリオ」になった。この先、僕の周りで「フィデリオ」のことが話題になることがあれば、必ず「2015年のザルツブルク」のことを語り出すに違いない。
 
10 August 2015, 19:30 Grosses Festspielhaus 
 
FIDELIO 
Opera in two acts Op. 72 by Ludwig van Beethoven 
Libretto by Joseph Sonnleithner, Stephan von Breuning and Georg Friedrich Treitschke after Jean-Nicolaus Bouilly’s libretto Léonore ou L’amour conjugal  
 
Franz Welser-Möst, Conductor 
Claus Guth, Director 
Christian Schmidt, Sets and Costumes 
Ronny Dietrich, Dramaturgy 
Olaf Freese, Lighting 
Torsten Ottersberg, Sound Design 
Andi A. Müller, Video Design 
Ernst Raffelsberger, Chorus Master 
 
Jonas Kaufmann, Florestan 
Adrianne Pieczonka, Leonore 
Sebastian Holecek, Don Fernando 
Tomasz Konieczny, Don Pizarro 
Hans-Peter König, Rocco 
Olga Bezsmertna, Marzelline 
Norbert Ernst, Jaquino 
Paul Lorenger, Shadow Pizarro 
Nadia Kichler, Shadow Leonore 
Concert Association of the Vienna State Opera Chorus  
Vienna Philharmonic

 

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ザルツブルク音楽祭 2015:指揮者コンクール ファイナリスト演奏会

さて、指揮者コンクールのファイナリストによる演奏会。

 
会場はザルツブルク大学の講堂。場所は音楽祭の大劇場の真向いにザルツブルク大学の建物があってその裏手。大学自体は17世紀の創立だし、元の講堂も相当古かったらしいが、今の建物は10年ほどまえに建てられたもの。1階に簡単なロビーとクロークがあり、2階が演奏会場なのだけれど、中は本当に講堂といった感じの作りで500席程度の規模だろうか。ステージはおそらく仮説のもの。嬉しかったのは、心地良く空調の効いていたこと。何しろ本当に暑いんだから。
 
指揮者コンクールは、あのネスレのスポンサーで今年初めて開かれたらしい。優勝者は来年の音楽祭でウィーン放送交響楽団との演奏会が行えるという。
 
ファイナリストは3人。リトアニア出身の女性指揮者ジードレ・スレカイト(発音が良く判らない Giedre Slekyte)、イタリア系スイス人のロレンツォ・ヴィオッティ、チェコ出身のジリ・ローゼン。
 
この3人がこの金土日に別々に演奏会を開く。オケはカメラータ・ザルツブルク。プログラムを見てみると、同じものではなくて、中プロに女性歌手によるモーツァルトのコンサート・アリアを挟んで、前プロは序曲や抜粋した楽章が2曲、メインが短めの交響曲という構成を揃えているものの、曲はみなバラバラ。指定されたものなのか、自分で選べるのか興味深いところ。
 
僕の聞いたのは、最終日のジニ・ローゼン君の演奏会。23歳の若者ということで初々しいのは良いけれど、緊張しているのが観ている方にもハッキリ判って、その緊張は最後まで解けきれなかった。「コジ・ファン・トゥッティ」の序曲で木管が早いパッセージで掛け合うところなど、誰かこけるんじゃないかとハラハラした。モーツァルトを得意とするザルツブルクのプロのオケがそんなこともない筈なのに。
 
出色だったのは、指揮者よりむしろモーツァルトのコンサートアリアを歌ったクレア・デ・セヴィーヌというカナダ人のソプラノ。この人も音楽祭のマスタークラスに参加している人なのだが、声も容姿も素晴らしかった。指揮者を差し置いて2回もカーテンコールを受けていた。指揮者のジリ君が少しかわいそうな気もしたが、彼は雰囲気から言うと、俳優の濱田岳を彷彿とさせる感じかな。
 
演奏会は休憩なしに1時間余りで終わり、その後30分ほどの休憩の後にいよいよ最終結果の発表があった。
 
優勝者は… ロレンツォ・ヴィオッティでした。我らがジリ・ローゼンは勝利ならず。やっぱり濱田岳の役どころだからね。
 
ロレンツォ・ ヴィオッティの経歴をみてみたら、これまでにスペインとドイツのコンクールで優勝しているし、幾つかのプロオケとも共演してもうプロとしてのキャリアを初めている人らしい。実は父親もマルチェロ・ヴィオッティという指揮者で、フェニーチェ歌劇場の音楽監督を務めていたが10年ほど前に50歳の若さで逝ってしまったという。何と、日本でも去年東響の演奏会に主席客演の代役で振って話題になっているらしい。おそらくまた日本でも聞けるだろう。
 
10 August 2015, 11:00 Grosse Universitätsaula 
 
AWARD CONCERT WEEKEND 3  
Nestlé and Salzburg Festival Young Conductors Award 2015
 
Jiří Rožeň, Conductor 
Claire de Sévigné, Soprano 
Camerata Salzburg 
 
BEDŘICH SMETANA 
From Triumphal Symphony in E, Op. 6, “Festive Symphony” 
Scherzo: Allegro vivo 
WOLFGANG A. MOZART 
Overture from Così fan tutte, K. 588 
WOLFGANG A. MOZART 
“Vorrei spiegarvi, oh Dio!”, Aria for Soprano and Orchestra, K. 418 
MILOSLAV KABELÁČ 
Symphony No. 4 in A, Op. 36, “Camerata” (1958)
 

 

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ザルツブルク音楽祭 2015:歌劇「フィガロの結婚」

今回、一番楽しみにしていたのが、この「フィガロ」。

 
去年の「ドン・ジョバンニ」が面白くて、また今年もダ・ポンテ台本のシリーズで「フィガロ」をやるというので思わず申し込んだ。それが2年続けてのザルツブルク詣出の直接のきっかけでもある。去年の主要キャストのうち、レポレッロ役のルカ・ピサローニとドナ・エルヴィラ役のアネット・フリッシュが、アルマヴィーヴァ伯爵夫妻役で出るのも楽しみ。
 
で、やはりその二人が素晴らしかった。特にアネット・フリッシュ。この人の出番が増える第2幕から俄然面白くなる。まぁ、元々の構成から言っても2幕目から重唱も増えて盛り上がって来るのだが。それにしても、フリッシュはドラマチックなソプラノだ。「フィガロ」はスラップスティック(ドタバタ)に近い喜劇的な場面も多いが、ロジーナ(伯爵夫人)のアリアだけ急にシリアスな雰囲気になるのだが、フリッシュのソプラノは更に辺りを払う感じがする。モーツァルトも良いが、プッチーニやヴェルディの役も観てみたい。
 
ピサロー二は相変わらずの伊達男振り。きっと「追っかけ」もいるだろうな。今年まだ40歳になったところだから、バリトンとしてはこれから脂の乗るところだろう。
 
指揮者は、これがザルツブルクデビューとなるダン・エッティンガー。迂闊にも知らなかったが、2010年から東フィルの常任を務め(今年から桂冠指揮者)、新国立でも度々振っているという。やっぱり日本で日常的に観ておかないといけませんね。イスラエル出身で、バレンボイムの秘蔵っ子といわれ、ベルリンでカペルマイスターを務めていたということで、今回も自らレチタティーヴォのチェンバロを弾きながら指揮していた。指揮振りは見るからに才気煥発という感じ。この人もこれからが楽しみ。
 
さて、衣装や小道具の時代設定は20世紀初頭というところか。「伯爵と使用人を巡る物語」として、カツラとか衣装とか、いわゆるコスチュームプレイをせずに成り立つギリギリの年代ということか。セットは日本の喜劇やコントにも有り勝ちな2階建の額縁構造だが、いくらスラップスティックには向いているにしても、ちょっとせせこましいかも。
 
「フィガロ」はアンサンブル(重唱)も多くて、ザルツブルクの様に歌手を揃えられるところでは本当に楽しくていい。
 
それにしても、今年のザルツブルクは暑過ぎる。人気の演目だから客席は満員だけれど、おそらくエアコンは無いか、あってもほとんど利いていなかったので、男たちは途中で上着を脱ぎ出すものも多かった。僕もそうだったが、さらには念の為に日本から持参した扇子も本当に役に立った。今年のフィガロは、その意味でも忘れられなくなりそうだ。
 
9 August 2015, 18:00 Haus für Mozart 
 
LE NOZZE DI FIGARO 
Opera buffa in four acts K. 492  by Wolfgang Amadeus Mozart  
Text by Lorenzo Da Ponte after Pierre Augustin Caron de Beaumarchais's play La Folle Journée, ou Le Mariage de Figaro (1778) 
 
Dan Ettinger, Conductor 
Sven-Eric Bechtolf, Director 
Alex Eales, Sets 
Mark Bouman, Costumes 
 
Luca Pisaroni, Il Conte Almaviva 
Anett Fritsch, La Contessa Almaviva 
Martina Janková, Susanna 
Adam Plachetka, Figaro 
Margarita Gritskova, Cherubino 
Ann Murray, Marcellina 
Carlos Chausson, Don Bartolo 
Paul Schweinester, Don Basilio 
Franz Supper, Don Curzio 
Christina Gansch, Barbarina 
Erik Anstine, Antonio 
Concert Association of the Vienna State Opera Chorus  
Vienna Philharmonic 

 

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