ドバイ−尋常ではない都市

GWに出張に行ったのは、中東のドーハ(カタール)とドバイ(UAE)。特にドバイには、4月以来2度目の訪問。最初のドバイ行きが私の「中東デビュー」。

正直に言って、「中東」と言われてもピンと来なかった。アメリカや西ヨーロッパは公私共に良く旅行したし、アメリカには住みさえしたけれど、仕事で行くにしても、台湾〜中国〜東南アジア〜インドまで来て、そこで止まっていた。アラビア半島の国々の位置さえ怪しい。

それが、仕事の事とはいえひと月足らずの間に二度も訪問することになったのには自分でも驚いた。
中東は、厳密に言うと中東の産油国は、このところの原油価格の高留まりで空前の好景気に沸いているという。とは言え、宗教上の制約度合いの違いもあり、その現れ方には国によって差があるけれど、UAE(アラブ首長国連邦)の金満振りは隠れようが無い。わけてもドバイの様子は尋常ではない。

元々ドバイは、ペルシャ湾−近年はアラブ民族主義の高まりがあって、アラブ諸国では「アラビア湾」と呼ぶという。こんな事も最近知った−の入口近くに有って、天然の入り江を切開いて作った運河を持つ海運都市だったそうで、船が行き交う運河沿いは今でもなかなか風情がある。

それが近年、運河の左岸を海岸沿いに西に伸びる道路沿いに新しい高層ビルがドンドン出来ている。「雨後の筍の様に」という比喩が大げさでも何でもない。数年前に上海を訪れた時にもビルの建設ラッシュに驚かされた記憶があるが、それどころの騒ぎではない。本当にそうかどうかは議論の分かれるところらしいが、これほどバブル的光景もそう無い気がする。

GW中にある会社を訪問したが、通された会議室が高層ビルの上の方にあって、そういった建設中のビル郡を一望出来るところだったので、思わず写真を撮ってしまった。写真の奥の方に見えひょろ長いビルが、完成の暁には世界一の高さになるという「ブルジュ・ドバイ(ドバイタワー)」。今年中に完成するということらしいが、800メートル以上の高さになるという。正確な高さは未だに公表されず、最後は鉄塔めいた構造物の長さによって「世界一」を確保すべく「調整」するという。「そこまでやるか!」と突っ込みたくもなる。

それにしても、この会議室からの眺めを見て、この国はニューヨークのマンハッタンの様な景観を一片に作り出そうとしていると感じた。その他にも、海岸沿いには人工島によるリゾートアイランドめいた物を何ヶ所か作っていたりとかして、今やドバイは究極のハコ物天国となっていて、世界中のゼネコン(日本も含めて)が寄り集まっているという。

ドバイ、尋常ではない。ハッキリ言って怖い。石油頼みの経済から、金融立国あるいはリゾート立国に脱皮する過程だと言われても、どうしても「砂上の楼閣」という言葉が頭をよぎる。まぁ商売的に言えば、その興亡のスパンが50年/100年単位なら乗らなきゃいけないんだろうけどね。

◆ドバイクリーク

◆ドバイファイナンシャルセンター周辺