オペラ #5 「トスカ」(シュターツオパー)

Tosca
Opera in three acts
Music by Giacomo Puccini
Libretto by Luigi Illica and Giuseppe Giacosa, based on Victorien Sardou's drama, La Tosca
Wien Staatsoper
Conductor: Pier Giorgio Morandi
Director: Margarethe Wallmann
Scenography and Costumes: Nicola Benois
Floria Tosca: Catherine Naglestad
Mario Cavaradossi: Jonas Kaufmann
Baron Scarpia: Ruggero Raimondi

今回の旅行のオペラ/演奏会の中で、唯一自分でチケットを買えずエージェントに頼んで手に入れた公演。額面の3倍近く掛かって手に入れたのは、5階の天井桟敷。すぐ上は立見席。最初はチョッと残念に思ったが、結果はOKか。かなり角度はあるが、舞台のほぼ正面で良く見えるし、何と言っても音が良い。完璧にミックスされた状態で聞こえて来ているんじゃないだろうか。ウィーン来始めた頃はよくこの天井桟敷の立見席で観た。安くても音は悪くないし、オケピットの木管セクションが良く見えた。
◆席からの眺め  席は5階席、写真の中心辺り

◆以前よく居た立見席とそこからの眺め

今回はとにかく主役の二人(トスカ役とカヴァラドッシ役)の歌手がとても良かった。

トスカ役のキャサリン・ネイグルスタッドはアメリカ人のソプラノで今回シュターツオパーのデビューだというが、既にパリやロンドンで同じ役を歌っているという事で堂々としたものだった。

舞台が遠くて顔が良く判らず、休憩時間に思わずオペラグラスを借りて確かめた。美形ではあるが相当に険があって怖そう、という風に見えた。カーテンコールで笑顔を見せた時にはなかなかにかわいらしかったので、多分に天井桟敷から角度を持って観たせいだろうし、やはり何といっても役のせいだろう。トスカって、所詮はひどいやきもち焼きでヒステリックで、本来そんなに同情を得易いキャラクターだとは思えないけれど、それがオペラ史上に残る大ヒロインな訳だから、それはやはり歌の力、音楽の力というものなんだろうね。(実際そう思える歌唱/演奏だった。)

いずれにしても、これからも楽しみな人だと思う。それにしても今回ウィーンでもハンガリーでも主要キャストにアメリカ人歌手が何人かいたが、確かにアメリカでも主要都市にオペラハウス、あるいはオペラカンパニーがあって裾野は日本などよりずっと広いし、ヨーロッパとのネットワークも確立しているのだろう。

カラヴァドッシ役のヨナス・カウフマンは歌も良かったが、なかなかの男前。ドイツ人だそうだけど、ラテン系の男臭さがあって、遠目にはちょっとアントニオ・バンデラス風、オペラグラスを通してみたらもう少し甘い色男。人気がありそうだ。

こういう組合せだったら、チケットもすぐに売り切れるだろうという納得のカップル。二人ともこれからあちこちのメジャーなオペラハウスに出て来るんだろうなと思う。

指揮者のピエール・ジョルジョ・モランディという人は、指揮者になる前はスカラ座のオケでオーボエを吹いていて、ムーティのアシスタントから出たという経歴。ナクソス・レーベルで例のハンガリー国立歌劇場を振っていろいろCDも出ている様だ。聴いて見なくちゃね。(なんて、とぼけたことを言ってごめんなさい。5/5のブダペストの「トゥーランドット」もこの人が指揮でした。)
◆1幕目のカーテンコール  トスカの赤い衣装は激しい性格の表現?

◆2幕目のカーテンコール

◆最後のカーテンコール