オペラ「トスカ」(フォルクスオパー)

ドイツ語の「トスカ」を初めて聴いた。勿論、この公演がドイツ語上演というのは全く知らずにいたのだが。

1幕目の始めの方で、どうも ich とか auch とか聴こえてくるし、アリアも覚えているのと言葉の響きが違う。Volksoper(民衆の歌劇場)とはこういうことか、とひとりごちたが、後で調べて見たら翌週の「椿姫」はイタリア語なので、どういう基準で使い分けるのかは良くわからない。

それで結局、1幕目はドイツ語が気になってなかなか集中出来ない。別にドイツ語もイタリア語も殆ど解らないのに。それが2幕目以降、物語が盛り上がって来ると歌手達のテンションもあってか、余り気にならなくなって来た。特にトスカ役のソプラノ(Maida Hundeling)とスカルピア役のバス・バリトン(Egils Silins)が素晴らしい。

ソプラノのMaida Hundelingは、ドイツ人。チェコの国立劇場で活躍している人らしい。ドイツ人ならドイツ語の方がより感情移入し易いのも道理か。

バス・バリトンのEgils Silinsはラトビア出身で、シュターツオパーや他のヨーロッパの主要オペラハウスに出ている。本当に迫力あるスカルピアだった。グノーの「ファウスト」のメフィストテレスが当たり役で、シュターツオパーにも出ているというから、なかなか凄味がある。

カラヴァドッシ役のテナー(Jenk Bieck)は決して下手な人じゃないけれど、如何せん短躯に太目(その点は親近感を覚えないじゃ無いけど)で、トスカより背が低い。2人だけのシーンが若干滑稽に見えてしまうのが、チョッと悲しい。トルコの出身の人。

歌手達にも増して、僕の関心を引いたのはオケの演奏。なかなか熱が入っていた。普段はオペレッタやミュージカルが多いから、こういう演目だと「オペラハウスのオケ」というプライドが蘇って来るのか? もっとも「オペレッタを演らせたら世界一」というのも大した勲章だが。

チョッと気になったは、音の聞こえ方がやや不自然。PAを使っているのかな?と思えなくもないが。あの劇場であのオケでPAを使う必要は全く無いし、もし使っていなかったら、僕の不明をお詫びします。

Friday 24. September 2010
Volksoper Wien
Tosca
Opera from Giacomo Puccini
Cast
Regie: Alfred Kirchner
Ausstattung: Karl Kneidl
Dramaturgie: Birgit Meyer
Dirigent: Manlio Benzi
Floria Tosca, Sängerin: Maida Hundeling
Mario Cavaradossi, Maler: Jenk Bieck
Baron Scarpia, Chef der Polizei: Egils Silins
Cesare Angelotti, ehemaliger Konsul von Rom: Stefan Cerny
Der Mesner: Martin Winkler
Spoletta, Polizeiagent: Karl-Michael Ebner