ロッシーニ/歌劇「アルジェのイタリア女」(シュターツオパー)

一昨日の「タンホイザー」に比べると、オケは格段に小振り。基本的には二管編成だが、フルート(ピッコロと持替え)とファゴットは一本しかいない。弦のプルト数は、上から5・4・3・2・1.5(コントラバスが3本)。今夜は、同じ時間帯にコンツェルトハウスでウィーンフィルの演奏会がある。あちらのプログラムは、明晩のムジークフェラインの定期演奏会と同じ。

ロッシーニは、「セヴィリアの理髪師」「ウィリアム・テル」「泥棒かささぎ」辺りの序曲は知っているが、どれもオペラ全編はまだ観たことがなかった。

主要なキャストは、7人ほどだが、それぞれキャラクターがはまっていて楽しい。特に良いと思ったのは、大守(ムスタファ)役のIldar Abdrazakov(バス)、イザベラ(イタリア女)役のVesselina Kasarova(メゾソプラノ)、エルヴィラ(太守の妻)役のChen Reiss(ソプラノ)。「予習」でDVDを観たパリ・オペラ座の上演は、ソプラノがいささかくたびれていた感じだが、こちらの方は初々しく貞淑な感じが良く出ていたが、それが「でも食い足りないので、気の強いイタリア女に魅かれる」という設定に生きてくる。どれもそうだと思うが、特にこういう軽快な作品はキャラターにはまらない歌手がいると異和感がなかなか拭えなくて楽しめない。

リンドロ役のMaxim Mironov(テノール)はフアルセットっぽい声で、いわゆるカウンターテナーなのだと思うが、彼はベルカントの名手で、有名なロッシーニ歌手なのだそうだ。とにかく、僕にすればついぞオペラの中では聞かなかった声。何しろまともにロッシーニのオペラを聞いたのは今回が初めてですからね。

ところで主要キャストの中で、バスとテノールはロシア出身の人。前にここで観たチャイコフスキーの「スペードの女王」にはロシア人がひとりもいなかったのに、ロッシーニのオペラにロシア人が二人いるというのも何となく面白い。

それにしてもロッシーニの疾走感は、モーツァルトとともまた違うが面白い。クセになる人が多いというのも判る。「セヴィリア」以外なかなか上演される機会は少ないように思うけれど、また観てみたい。

L'italiana in Algeri
25 November 2011 Winer Staatsoper
Conductor: Marco Armiliato
Director, Set Designs & Costumes: Jean Pierre Ponnelle
Mustafa: Ildar Abdrazakov
Elvira: Chen Reiss
Lindoro: Maxim Mironov
Isabella: Vesselina Kasarova
Zulma: Rachel Frankel
Haly: Hans Peter Kammerer
Taddeo: Alfred Sramek