短く刈り込んだ髪に、黒いレザーのパンツとベストを纏う長身のマッチョ。それが今回のドン・ジョバンニ。演じるのは、Adam Plachetkaというプラハ出身のバス-バリトン。1985年生まれで、まだ30歳にもなっていないが、堂々とした、シャープだがふてぶてしいドン・ジョバンニだ。プラハで20歳でプロデビュー、ザルツブルク音楽祭にも22歳で出ているというから若き実力者だ。
ドナ・アンナ役のロシア人のソプラノ(Hibla Gerzmava)はちょっと太目で、マッチョのドン・ジョバンニとは少し見た目のバランスが悪いが、歌は素晴らしい。
舞台装置は終始ダーク。時代設定も勿論変えられていて、おそらく現代に近いいつか。
私としては、通常その手の設定を変えた演出には余り好意的ではないのだが、今夜はそれなりに面白かった。歪んだ矩形のフレームに場面ごとに象徴的な背景が投影されるが、基本的には暗いモノトーンの装置。終幕だけは、バロック時代の華やかな衣装を纏う仮装パーティー、という設定で、ドン・ジョバンニがオリジナルの時代衣装に身を包む、という趣向には思わずニヤリ。
実はこのオペラを生で観るのは今回が初めてだけれど、「ドン・ジョバンニ」の音楽はこんなに緊張感のあるものだったのか、と思い知らされた。
Wiener Staatsoper
Samstag, 11. Janner 2014, 19:00
DON GIOVANNI
Wolfgang Amadeus Mozart
Alain Altinoglu | Dirigent
Jean-Louis Martinoty | Regie
Hans Schavernoch | Ausstattung
Yan Tax | Kostüme
Fabrice Kebour | Licht
- Adam Plachetka | Don Giovanni
- Hibla Gerzmava | Donna Anna
- Rolando Villazón | Don Ottavio
- Malin Hartelius | Donna Elvira
- David Bizic | Leporello