ワーグナー 楽劇「ラインの黄金」(Wiener Staatsoper)

今日、明日は「リング」の前半「ラインの黄金」と「ワルキューレ」を二夜続けて上演するという魅力的なスケジュール。チケットがなかなか取れずにやきもきしたが、エージェントに頑張って貰って何とか取れたのは、平土間5列めといういささか身分不相応な席。音響的にも、ワーグナーであればもう少しオケピットから離れて、音が練れたところの方が良いのに、とこれは贅沢な話。

指揮のペーター・シュナイダーは今回が初めてだが、演出のスベン-エリック・ベクトルフという人は、2014年の夏に初めてザルツブルグに行った時に「ドン・ジョバンニ」を観て面白かった。ストレート・プレイから出た人らしく、キャストも芝居として違和感無く楽しめた記憶がある。

今回もそうだった、と言いたいところだけれど、ひとりだけフレイア役の歌手(Caroline Wenbornというオーストラリア人のソプラノ)が見た目、渡辺直美にそっくりな雰囲気なので気になって仕方がなかった。フレイアという役はフリッカ(ヴォータンの妻)の妹で美の女神、その美しさゆえに巨人族が執着してヴォータンと揉める、という役なので余計に「えっ?」という感じ。まぁ、オペラではよくある話だけれど、そういうイメージが出来ると頭から離れなくて困った。後で調べてみたら、バイロイトでも同じ役をやるというから、相当な実力者なのだろうけれど。げに恐ろしきは先入観。

キャストの中で、ひときわ異彩を放っていたのは、ローゲ役のNorbert Ernst。正直なところワーグナーは余り真面目に聞いたことがなかったので、こういうキャラクター俳優の様な役回りのテノールは新鮮。この人もバイロイトでもそれと知られた有名な歌手らしい。

さて、今回は藤村実穂子さんを初めて生で聞いた。フリッカ役で今晩と明日の「ワルキューレ」に連続して出る。「ラインの黄金」と「ワルキューレ」に共通する主要キャストであるヴォータンとフリッカだけれど、今回ヴォータン役は変わるので、唯一同じキャストという大事な役。オレ様のヴォータンに対して分別盛りの妻役がはまっている。欧州の第一線で本当に活躍している唯一の日本人歌手といっていい人だし、とりわけワーグナーの様な重厚な作品で認められているのは素晴らしい。

Richard Wagner
DAS RHEINGOLD

Wiener Staatsoper
30 April 2017, Sunday
19:00 - 21:30

Peter Schneider, Conductor
Sven-Eric Bechtolf, Director
Rolf Glittenberg, Set DEsign
Marianne Glittenberg, Costumes

Wotan, Egils Silins
Loge, Norbert Ernst
Fricka, Mihoko Fujimura
Erda, Okka von der Damerau
Alberich, Jochen Schmeckenbecher
Mime, Wolfgang Ablinger-Sperrhacke

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