さて、今晩は今回の旅行の最後の公演。ショスタコーヴィチの「ムツェンスク郡のマクベス夫人 」は初めて観る。
スキャンダラスといえば、これほどスキャンダラスな作品もなかなかないだろう。「サロメ」などよりも遥かに。テーマは陰鬱でグロテスクだ。また見たいか?と尋ねられたら微妙だが、とにかく目と耳は惹きつけられて飽きることはなかった。こういう作品がスターリン施政下のソ連(1936年)で公開されたというのも驚きだ。(案の上、公開後厳しい批判に晒されたようだけど。)
主要キャストは、地方の資産家に嫁いだが鬱々として生活に倦んだ人妻、強面の舅(実は嫁に邪(よこしま)な恋慕を抱いている)、そして不倫相手(という生易しい感じではないが)の女たらしで流れ者の労働者。
人妻役のソプラノ(Eva-Maria Westbroek)はオランダ出身の歌手。この役が当り役らしく堂に入ったものだ。後で調べたら、数少ないDVD/BDとしてマリス・ヤンソンス指揮/コンセルトヘボウの演奏でオランダ国立歌劇場公演のものが発売されている。
舅役のバスは、スキンヘッドのいかつい面構え。歌手とは思えない悪役顔で迫力がある。不倫相手役のテノールは名前からしてロシア人かと思ったら、そもそもの出自はともかく本人はモンタナ州出身のアメリカ人だという。ということで、主要キャストにロシア人はいない。
オーケストラは、木管三管編成でヴァイオリンは12本づつ、ヴィオラが10本、チェロ7本、コントラバスが8本並ぶかなり大きな編成。これに大掛かりなバンダ(金管)が舞台に上がる。問題のスキャンダラスなシーン(要はセックスシーンなのだが)はこの編成全部でけたたましく強奏する。あからさま、といえば余りにあからさまな音楽だ。
それにしても、ここのオケピットにも女性奏者が増えた。前夜の「フィガロ」でも9人を数えたが、今日は14人も居た。ヴァイオリンが7人、ヴィオラが2人、チェロが1人、コントラバスが1人、フルートが1人、オーボエが1人、ファゴットが1人。そのうちセカンド・ヴァイオリンにトップサイド、ファゴットがトップだった。
今週は18世紀のモーツァルト、19世紀のワーグナー、20世紀のショスタコーヴィチのオペラを3〜4日の間に聞いてしまった訳だ。やはり、チョッと疲れましたね。
Dmitri Schostakowitsch
LADY MACBETH VON MZENSKWiener Staatsoper
03 May 2017, Wednesday
19:00 - 22:15Ingo Metzmacher, Conductor
Matthias Hartmann, Director
Volker Hintermeier, Set Design
Su Bühler, Costumes
Teresa Rotemberg, ChoreographyBoris Ismailow, Wolfgang Bankl
Katerina Ismailowa, Eva-Maria Westbroek
Sergej, Brandon Jovanovich