カールマン/オペレッタ「チャールダーシュの女王」(フォルクスオパー)


チャールダーシュというのは、19世紀に大流行したハンガリー音楽の一種だという。題名は英語では「ジプシー・プリンセス」と訳されているので、ジプシー音楽に由来するのだろう。「緩急のメロディーが交錯するのが特徴」というのは、これもジプシー音楽(ロマ音楽)に取材したブラームスの「ハンガリー舞曲集」にも言えるし、あれも19世紀の作品だ。

物語のヒロインが人気者のエンターティナーで、主要なシーンが劇場という設定もあって、この作品はストレートに Song & Dance モノだ。1930年代から50年代にかけてのRKOやMGMのミュージカル映画の雰囲気にとても近い。というより、前にも書いたが、こちらが「ご本家」。

主役のメゾソプラノはエストニア出身の人で、なかなか魅力的。基本的にはオペラ歌手の筈だが、ー生懸命踊ってもいた。相手役とその友人2人は貴族仲間と言う設定で、ヒロインを交えて歌い踊る。踊りの部分は、本職のバレエダンサーたちが終始脇を固めているので華やかで良いですねぇ。

音楽は饒舌で、オケがまた良く鳴る。指揮は大御所のルドルフ・ビーブル氏。相変らず小気味良い指揮振り。一昨年の5月には同じ場所で「メリー・ウィドウ」を観たが、あの時に80歳だったというから、もう82歳の筈だ。お元気で何より。

今回のプログラムは「新演出」と銘打ってあったので、少し訝しく思っていたが、キャストや時代の設定はオリジナル通りなので安心した。オペラばかりか、オペレッタまで「新解釈」流行りのご時世だけれど、 フォルクスオパーのオペレッタにはオーソドックスにオリジナルのままで演って欲しいですね。

Die Csárdásfürstin
Operette von Emmerich Kálmán

24 November, 2011     Volksoper Wien

Regie und szenische Neueinstudierung: Robert Herzl
Bühnenbild: Pantelis Dessyllas
Kostüme: Silvia Strahammer
Choreographie: Matyas Jurkovics
 
Dirigent: Rudolf Bibl

Sylva Varescu: Annely Peebo
Edwin Ronald: Julian Orlishausen
Boni: Roman Martin
Feri Bacsi: Wolfgang Gratschmaier
Leopold Maria: Peter Pikl
Anhilte: Maria Happel
Anastasia: Elisabeth Schwarz
Eugen: Martin Bermoser
Sigi Gross: Nicolaus Hagg
Sándor von Kiss, Notar: Raimund-Maria Natiesta