ウィーン・カフェ巡り

カフェ巡りウィーン編はこれにて締め括り。どれも有名どころばかりで今更「穴場紹介」もないけれど、やはり良いところは良い。何が良いかというと、居心地がね。

■カフェ・モーツァルト (Cafe Mozart)
いわずと知れたシュターツオパー(国立歌劇場)裏の老舗。場所はザッハホテルのある建物の1階。ザッハホテルのカフェと直交した面がカフェ・モーツァルト。でも系列的には、カフェ・ラントマンや王宮のところに新しく出来たカフェ・ホフブルクと同じ系列らしい。(何を言いたいかというと、ケーキはみな同じところで作っているらしい。)

営業時間は朝8時から夜12時までだし、ロケーションは便利だし(シュターツオパーの裏、ケルントナー通りからも至近)、ブロードバンドもタダで繋がる。(今回知った) 今回は夕食で2度、朝食で1度利用した。夕食はオーストリア名物のターフェル・シュピッツと、ウィーン最後の夜にまたホワイトアスパラガスを頂いた。

「ターフェル・シュピッツ」は初めて食べたが、これを美味しいとは思えない。殆ど味付けらしい味付けも無く(おそらく薄い塩味はついている)、脂身の殆ど無い肉(ステーキ状)と野菜を茹でたもの。ダイエット食だと言われれば納得出来る。ハプスブルク家最後の皇帝(実質。正確には最後から2番目)、長身痩躯のフランツヨーゼフの好物だと聞けばこれも納得出来る。

ホワイトアスパラガスの方は再び満足。今度はソースも無く、ハムの塩味で食べろ、という一皿。ちゃんと食べられます。美味しかった。

朝食の時には、PCも持ち込んで2時間位やった。快適に動く。勿論、何も邪魔されない。

Cafe Mozart
Albertinaplatz 2
A-1010 Vienna
Tel.: ++43/1/24 100 - 200
http://www.cafe-wien.at/85_ENG_HTML.htm

 
◆チョッといただけなかった「ターフェル・シュピッツ」  ウィーン最後は「ホワイトアスパラ」
  


■カフェ・デーメル (Cafe Demel)
有名な「王室御用達」の老舗菓子屋のカフェ。いわゆる「カフェ・コンディトライ(菓子舗併設のカフェ)」。場所も王宮のすぐそば、コールマルクトにある。ウィーンに来ると必ずここの「アップフェル・シュトゥルーデル」を食べに来る。最近はアメリカのアップルパイの影響か、シナモンを入れてみたりレーズンが入っていたりするのが多い中で、ここのはもっと素朴で繊細な味。

けれどここにも観光化の波は確実に押し寄せていて、店内のレイアウトが大分変わっていた。いつも使っていた入口右側のカフェルームは全部土産物売場に衣替え。変わって2階にカフェ・ルームを広く取った様だ。という訳で2階に案内される。途中の階段からはガラス張りのキッチンが覗ける。

帰りに土産物売場に行って「スミレの花の砂糖漬けキャンディー」というのを買った。かのエリザベート王妃の好物だったそうな。色は濃いスミレ色。砂糖でガチガチにコーティングされているが確かに中にはスミレの花びらが入っている様だ。それにしても、金平糖よりまだ硬い。かと言ってずっとなめていたら、きっと歯まで紫色に染まるに違いない。噛むと得も言われぬ香りがする。

Ku.K (Imperial and Royal) Court Confectionary Bakery
Ch. Demel’s Sons Ltd.
Kohlmarkt 14
A-1010 Vienna
Tel: +43/1/535 17 17 -0
http://www.demel.at/en/frames/index_demel.htm

 
 


■カフェ・グリーンシュタイドル (Cafe Greinsteidl)
コールマルクトを抜けた王宮前のミヒャエル広場に面したところにある。オリジナルは1847年の開業で、シュニッツラーやシェーンベルクも通ったという。1897年に店を閉じて、1990年に再び同じところに店を開いたそうだ。有名なカフェだが、意外にも今回初めて入った。

おそらくオリジナルの雰囲気を残してあるのだろう。クラシックでとても良い雰囲気。壁際のボックス席が居心地良い。僕の座った席はどう見てもひとり用だったが、ゆっくり朝食を摂って席を立ったら早速ウェートレスが「11時からXXX様」と書かれたプレートを置いていった。その人の定席なのだろうか。雰囲気の良いカフェに、毎日同じ時間に自分の席が待っている。ちょっと憧れる。

Cafe-Restaurant Griensteidl
Michaelerplatz 2, 1010 Wien
Tel. 01-535 26 92-0
http://www.cafegriensteidl.at/

 
◆居心地良かった壁際のボックス席


■カフェ・ツェントラル (Cafe Central)
大理石の柱が並んだ天井の高い店内は独特の開放感がある。かつての宮殿だった建物の一角を使ってあるそうだ。

入口左手が殆ど禁煙席。ウェブサイトを読んだら、今年1月から法律が出来て、歴史的建造物の中は全面禁煙にする事になってこのカフェの入っている建物もその対象となっているとのこと。まだ経過措置で一部喫煙席も残っているが、来年半ばからは全面禁煙になるそうだ。僕はタバコは吸わないが(厳密に言うと葉巻は時々吸う)、ウィーンのカフェでタバコが吸えなくなるというのも時代か。時代と言えば、ここもワイアレス・ブロードバンド接続が無料のホットスポット。と言う訳で、居心地の良いソファ席でしばしPCで仕事をした。

Café Central
Ecke Herrengasse/Strauchgasse
1010-Wien
Tel: (+43.1) 533 37 64 - 26
http://www.palaisevents.at/index.php?id=cafecentral&L=

  


カフェ・ラントマン (Cafe Landtmann) 再び、
アスパラガスを食べた後に、もう一度夕食に行った。その時のBGMの生のピアノがなかなか秀逸。最初はエルトン・ジョンの「ダニエル」、その次は「カルメン」、そして多分ピアソラのタンゴ、ジャズっぽい曲を弾いたかと思うとショパンに変わる。どれもなかなかに見事。帰り際、思わずチップを置きに行った。食事中は背中向きだったので気付かなかったが、ピアニストはセーター姿のラフな格好だった。ウェブサイトをみたら、演奏時間は「日〜火の午前8時〜11時」になっている。とすれば、あれは練習? いずれにしても良い聞き物だった。
◆この夜は「ウィンナ・シュニッツェル」   見事なピアノマン
  

何がおいしかったか? (ブダペスト・カフェ巡り)

今回の旅行で何がおいしかったか? その答えは比較的簡単。 ウィーンで食べたホワイト・アスパラガスと、ブダペストで食べたフォアグラ、と言っておきましょう。

ホワイト・アスパラガスの話は既に一度書いているけれど、もう一度ウィーン最後の夜にも食べた。その話はまた別のところで。


■カフェ・カラス(ブダペスト) Callas Cafe & Restaurant - Budapest

フォアグラの方は、ブダペストの最後の夜(と言っても二晩しかいなかったけれど)、「トゥーランドット」の跳ねた後にオペラハウスのすぐ隣の Callas というカフェで頂いた。別に狙い定めていった訳ではなく、オペラの余韻が残ってすぐにホテルへ戻る気になれず「ちょっとワインでも」という感じで手近にあったカフェに飛び込んだ。これが大正解。

店内はシンプルなデザインの中にジョルナイ・タイルがアクセントになった、アールデコのテイスト。

ジョルナイというのは、ヘレンドと並ぶハンガリーを代表する陶磁器だけれど、食器だけでなく建築用タイルも作られて、ハンガリーの世紀末建築の重要な素材になっている。僕がその存在を知ったのは20年近く前、初めてブダペストに来た時に訪れたリスト音楽院のホールの内装を目にした時。「世紀末的」と言ってしまえばそれまでだけれど、細かいタイル状の装飾が一面に施され、それが何かしら生き物の様な有機的な、表現し難い光を放って独特な雰囲気を作っていた。後でそのタイルが「ジョルナイ」という工房で焼かれたもので、その妖しい光が「イオシン」という釉薬によるものだという事を知った。

話が長くなったが、このカフェの装飾はむしろ白い壁が基調で、ジョルナイ・タイルが柱や梁の輪郭に施され、それがアクセントになっていて落ち着いた雰囲気を作っている。

さて席について、結局「ワイン1杯」とは行かずお腹が空いて来る。食事用のメニューを見て、そこで初めてフォアグラがハンガリーの名産である事を思い出した。メニューには2品載っている。ひとつは有名な「ロッシーニ・ステーキ」。かの大作曲家ロッシーニ先生が考案したというフィレステーキの上にフォアグラを載せるという美食家ステーキ。(更にトリュフを載せるレシピもある)

ロッシーニ・ステーキ」にも惹かれたが、もうひとつの方が「ハンガリー風フォアグラのソテー」と名付けれているので、「折角だからハンガリー風で行こう」ということにしてこちらを選んだ。

さてその料理がどんなものかというと...

ソテーされた厚さ1cm程度のフォアグラの切り身が3枚、煮込んだ野菜のベッドの上に並べられている。野菜のベッドは、これもハンガリー名産のパプリカとタマネギやトマトを煮込んだものらしい。良く煮込んだラタトゥーユというのを想像して貰うとイメージが近いかも知れない。付け合せはジャガイモのロースト。

フォアグラはキチンと火が通っているけれど、柔らかくてとてもクリーミィ。以前に出張先のフランスで「フォアグラのステーキ」というのも食べさせて貰ったけれど、それは外側が少しカリッと香ばしかった。あれはどうも粉(小麦粉)をまぶしてあったらしい。それに比べるとこのソテーは、シンプルにそのまま焼いている様だ。従来の「フォアグラ」のイメージに比べると、ずっと軽くてフレッシュな感じ。煮込み野菜の自然な甘み(パプリカの風味が良いアクセント)と合せると丁度良い。赤ワインに良く合う。

前菜代りに「アスパラガスのスープ」を頂く。これはホワイトではなく、グリーン・アスパラガス。クリームスープに、アスパラガスの穂先が幾つか入っている。ホワイトは勿論おいしいが、グリーンも悪くない。

調子に乗って、デザートにチョコレートケーキ(日本でも時々お目に掛かる「オペラ」というケーキ)まで頂くが、やはりこれはちょっと余計。甘過ぎて、半分しか食べられなかった。

以上、3皿に赤ワイン(グラス)とコーヒー。さて、これで幾らか? 現地貨9,000フォリント余り、日本円換算では4,000円と少し。やはりこれはリーズナブルと言うべきでしょうね。

「ひとりで何やってるの?」と突っ込まれても微笑んでしまえる、雰囲気の良いおいしいディナーでした。
◆カフェ内部

◆グリーンアスパラガスのスープ

◆メインの「フォアグラのソテー」 付け合せのジャガイモのローストもとてもおいしい

◆チョコレートケーキ「オペラ」 甘い!

Callas Cafe & Restaurant
Andrassy ut 20
1061 Budapest, Magyarorszag (Hungary)
http://www.callascafe.hu/index_eng.html
このサイトにあるパノラマ写真が素晴らしい。フルスクリーンで見ると、カフェの内部と外回り(隣のオペラハウスも覗く)の雰囲気が良く判る。何とこのカフェは2006年に出来たそうだ。そんなに新しいとは思えない落ち着いた雰囲気。

ウィーン・カフェ巡り

そんな1日の過ごし方なので、カフェはかなり貴重なポイント。いろいろ巡りたいと思ったけれど、ホテルやオペラハウス/演奏会場の近所とか、結局気に入ると繰り返しいったりして、別に「穴場」など見つかりはしなかったけれど。

今回ひとりで旅してみると、カフェは便利だ。コーヒー・ショップとしては勿論、三食とも摂れる。食事を摂るところとしても味も雰囲気も悪くないところが多い。


■カフェ・ザッハー (Cafe Sacher)
あれはウィーンに着いて2日目の朝。例のエアコン騒動が響いて、風邪が振り返して来た感じ。喉が痛いと言うほどではないが、咳が出る。でも熱は無い様なので、朝から外に出た。

どうもホテルの朝食は気が乗らないので、どこかのカフェにしようということで...

結局、ザッハーホテルのカフェに行く。シュターツオパーの真裏にあるあの「ザッハトルテ」の御本家。「昼間はなかなか入れないよなぁ」とただそれだけの理由だけど。

観光客と見られたのか、直ぐに外側のサンルームの様な席に案内される。どっちでも良かったので案内されるままに。カフェメニューはテーブルにあったが「朝食メニューがいいか?」と聞かれたので、うなづくと別のメニューが出て来た。迷ったが結局大きい方の朝食セットにする。

中身はポットのコーヒー、パンのバスケットに(勿論ゼンメルが入っている)、半熟のゆで卵(ここまでがいわゆる「ウィーン風朝食」のミニマム・セット)、それにハム・ソーセージ・チーズを盛り合せた皿が付く。ポットのコーヒーには同じくらい大きいピッチャーに入ったミルクが付いている。自分でカフェオレに出来る訳。なかなかに嬉しい。高級ホテルのカフェなので、パンが美味しい。特にゼンメルは表面のパリパリ感と中のシットリ感のコントラストが絶妙。

さて半熟のゆで卵。卵の真ん中辺りに十字の印がついている。そこを目掛けて殻を割れということかと、ナイフの背で叩いたら確かに水平にひびが入って上手く殻が剥ける。何しろ大変に正しい半熟卵なので下半分殻を残してスプーンですくわないと綺麗に食べられない。

最後にケーキまで付いて来たが、さすがにこれは一口だけ。まずくはないが、そんなに美味しいものじゃなかった。
◆「カフェ・ザッハー」のサンルーム    朝食セット(大):チーズとハムの皿が付く
 
◆謎の十字模様  勿論中身は「正しい半熟卵」
 
◆ケーキは一口だけ

ケーキと言えば、朝食ではなく、例のザッハトルテを注文している人たちも何人かいた。9時前なので(店は8時から開いている)、今日作ったという訳ではないだろうが、元々日持ちのするケーキだし、作りたてが美味しいという訳ではないだろうから、味は問題無いだろう。昼間は込み合って席待ちの人が並ぶくらいだから、ゆっくり味わいたければ朝一番のザッハトルテも確かに有りか。

結局ここには、別の日の夜演奏会の後にもう一度訪れて、パスタに白ワイン1杯、ザッハトルテにコーヒーという夕食を摂った。

Café Sacher Wien
Philharmonikerstrasse 4, A-1010 Vienna
Tel.: +43 (0)1 - 51 456 0
http://www.sacher.com/en-cafe-vienna.htm


■カフェ・シュバルツェンベルク (Cafe Shwarzenberg)
ムジークフェラインからも程近く、リンク通りの曲がり角にある。城壁が取り払われてリンク通りが出来てすぐに出来たカフェだという。(1861年) 隣にレンタカー会社(Hertz)のオフィスがあって、ちょうどこのカフェの真上に大きな看板を掲げているのですぐ判る。(ちょいと、これは無粋だけれど)

内部は改装はしているが、当時のままの雰囲気だという。 朝7時から夜12時まで開いているので、朝食を2度、ムジークフェラインの演奏会の前後にも2度行って、コーヒーを飲んだり、ワインを飲んだりしてゆっくりするのにとても良かった。

ここの朝食セットのブレッド・バスケットには、ゼンメル(丸パン)の他にキプフェル(三日月パン)も付いていた。結局まともにキプフェルを見かけたのはここだけ。ゼンメルと同様、オーストリアの伝統的なパンだと思うけれど、今はフランス風のクロワッサンに押されている様子。(一説にはハプスブルク家からフランスのブルボン家に輿入れたマリー・アントワネットの料理人が伝えたキプフェルがフランスでクロワッサンに変わっていったという説もあるそうだ) 因みにこのカフェの英語のメニューをみたら、キプフェルは普通の「クロワッサン」、フランス風のは「バター・クロワッサン」になっていた。

Café Schwarzenberg
Kaerntner Ring 17
1010 Wien
Tel.: +43 (1) 512 89 98
http://www.cafe-schwarzenberg.at/en/.html

◆入口と内部
 
◆バスケットにゼンメルとキプフェル    ここも正しい半熟状態
 

ウィーン・カフェ巡り #1:カフェ・フロイエンフーバー (Cafe Frauenhuber)

ぶらぶらと歩くうちにお昼も過ぎたので取敢えず昼食を取りにカフェへ。

シュターツオパー脇のケルントナー通りをシュテファン寺院の方へ向かい、途中で右に折れて1ブロックほどいったところにあるのが「カフェ・フロイエンフーバー」。開業しているウィーンで最古のカフェということだそうで、1824年の開業。

確かに古めいた雰囲気と造りではあるけれど、そんなに「老舗」振っている訳ではなく、そこが却って落ち着ける。ケルントナー通りという繁華街(東京の銀座通りに例える人もいるけれど)からほんの1ブロックしか入っていないけれど、ごく静か。

さてお目当てはグラーシュ・スープ。別にこの店の名物という訳ではないが、少し前に東京で納得がいかないのを食べたので、その口直しにウィーンに来たらまず試したかった。グラーシュにゼンメルの丸パン。昼ビールを付けて。やっぱり肉が挽き肉なんておかしいよね。(東京での話) 取敢えずひと心地着く。

ここは本当はシュニツェルがいけるそうだ。この旅行中に試せるかな?

Cafe-Restaurant Frauenhuber
Himmelpfortgasse
61010 Wien
Tel:+43-1-5125353

◆グラーシュスープ:まろやかでおいしい

DAL-MATTO(西麻布)

昨晩は配下某チームの夕食会(総勢5人)へ参加。一番若い人のリクエストで DAL-MATTO(西麻布)に行く。人気店でやっと予約が入れられたとか。6時開始(時間厳守!)で2時間という枠なのでオフィスのある大森から「ベル即」で何とか間に合わせた。

朝4時までの営業ということだが10時まではコースのみ。このコースが一皿づつは大した量とは思わなかったが、全部合せるとなかなかのボリューム。コースはお任せという事で、メニューも無かった様だが、昨晩のコースはデザートを含まない次の7品!:「鯛白子のパンナコッタ風」「春摘み草(という感じ)のバーニャカウダ」「魚料理3品盛合せ」「3種のアスパラガスの冷製パスタ」「自家製ハム」「仔羊ラグーソースのパスタ」「牛イチボ肉と豚のロースト」皆なかなかに面白くておいしい。特に最後の2品は気に入った。

仔羊のラグーというのは初めて。肉は粗切りで良く火が通してある。火が通って余計に羊特有の風味が出ている感じ。元々羊好きなので望むところ。(そのせいで「ちょっと...」という人もいたが)

最後の皿は、焼いた牛イチボ肉(お尻の部分だそうです)のスライス3枚と、太い拍子木に切った豚肉の組合せ。どちらも火の通し方が好ましい。特に豚は柔らくジューシー。ソースがコーヒー風味でアクセントが効いて甘過ぎずなくていい。何とコーヒー豆まで入っていた。噛み砕くとコーヒーの苦味が口に中に広がり面白い。レシピを聞いておくんだった。

コースの始めに「好き嫌い」と「パスタの量(大中小)」を聞いてくれる。みんな「パスタ(小)」で頼んだが、それでもコース全体では充分過ぎるボリューム。

それから、忘れずに書いておきたいのは、パンとオリーブオイル。パンは自家製と言うことだが、形は丸くてヘソみたいな窪みがあって、ちょうど木村屋のアンパンを小振りにした様な感じ。同じ形で普通のと、ハーブが入ったものが2種出て来た。焼き立てか暖めたのかは聞かなかったが、とにかく熱々。真っ先に手を出して「アチチッ」とやったら、若い人たちに「それはオーバーでしょ?」とたしなめられたが、本当に熱かったんです!

パンに付けるオリーブオイルは3種類出て来た。産地別になっていて、トスカナ、サルディーニャ、シチリアのものだそうだ。確かに並べて試してみると違いが明らか。特にシチリアのはパンチが利いていて良い。

デザートは別になっていて、僕はコース料理だけでお腹がいっぱいになったのでエスプレッソだけにしたが、3人はデザートも取っていた。昨晩のデザートは、チョコレート・ムースのカップにバニラアイスクリームが入ってこれもチョコレート風味のマカロンが載っているのと、ヨーグルトのシャーベット。味見も遠慮したが、ヨーグルトのシャーベットは塩味っぽくて、ちょっと変わっているけれどおいしいらしい。

以上に、ドリンクは最初にグラスのスプモニで乾杯をして、その後に赤を1本空けて(7,500円)、それで5人で44,000円と少し。ひとり頭8,000円そこそこは、満足感からすると決して高くないだろう。

キッチリ2時間で追い出す回転率へのこだわり。一皿づつの量はそれほどでもないが、目先の変わった皿を並べて(7品!)、パスタでボリュームを出して満足感を作る、いい材料を少しづつ使い人数を稼いでコストを抑える、といったところにしたたかさを感じるが、それを否定的にとらえようとは思わない。「気の置けないイタリアン」と素直に評価したい。

また違う季節に違うメニューを試してみたい。


DAL-MATTO(西麻布)
東京都港区西麻布1-10-8
第2大晃ビルB1F
03-3470-9899
営業時間:18:00 - 28:00
定休日:月曜日
http://www.dal-matto.com/

グラーシュ?

お彼岸なので、埼玉の実家へ、そして墓参り。その道すがら例の「カフェ・ブラウナー(秋葉原)」に立寄った。

目的は食べ物を確かめる為。まず「グラーシュ」を食す。この店には、カレーやハヤシライスの様に、ご飯と一緒に盛り付けてあるものと、スープになっているものがある。今回試したのはスープの方。具は、賽の目に切ったジャガイモとニンジン、3種類くらいの豆、そして肉は牛のひき肉。スープとして食べ易く、という配慮か? 決してまずくはないのだが、グラーシュにひき肉というのは、今ひとつピンとこない。過激な言い方をすると「辛くなくて具の少ないチリビーン」(ちょっとひどいね)。付け合せには、パンが3種類。まずくはないし、適当なボリュームだけれど、これもウィーン風にカイザーゼンメル(丸パン)とかキプフェル(三日月パン)だと気分が出るのだが。

随分とキザな事を言っている様だが、わざわざ「Cafe Brauner - Wien 」と名乗っているので、ちょっとこだわってみたくなる。
◆グラーシュ(スープ)

ついでに「シュマーレン」というデザートも試してみた。
厚めの随分しっかりとした食感のパンケーキ(ホットケーキ)状のものを四つ切にしたものに、ラズベリーソースとバニラアイスクリームを添えてある。なかなか美味。オーストリアのデザートに「カイザーシュマーレン」というのがあるが、食べた事はないので今度の旅行の宿題としよう。
◆シュマーレン

ところで話は「グラーシュ」に戻るけれど、この店のメニューには「グーラッシュ」と記してあり、店員もそう呼んでいる。元々ハンガリーの料理で、ハンガリー語マジャール語)では「Gulyás(グヤーシュ)」と書くらしいので、カタカナだと「ヤ(ラ)」の部分にアクセントの有るのが見て取れる。アクセントのある部分を伸ばすか、撥ねるか、というのは議論の分かれるところだが(つまり、グラーシュとするか、グラッシュとするか)、「グー」と伸ばしておいて(即ちアクセントが付く)、更に「ラッ」と撥ねれば、そこにもアクセントが付いてしまうので、かなり不自然な発音になる。まぁ、ちょっとこれもこだわり過ぎね。

結論を言うと「カフェ・ブラウナー」は悪い店ではありません。雰囲気も悪くないし、飲み物/食べ物もまずくない。秋葉原界隈で歩き疲れたら、多分また入ると思います。特別「ウィーン風」にこだわらなければ...

Cafe Brauner am Akihabara

今日、仕事で秋葉原に行った折りのこと。少し時間を潰そうと駅の直ぐ側にあった「スターバックス」に入ろうとしたら、同じビルの2階の「Cafe Brauner - Wien-」という看板が目に入って、思わず飛び込んでしまった。

「ブラウナー」 ウィーンのカフェでは定番のミルクを入れたコーヒーですね。本場では、入れるミルクの量(つまりコーヒー色の濃さの違い)によって呼び名が変わるとも聞くけれど、ここの場合は普通のブレンドコーヒーに例の小さいカップに入ったクリームが付いて来ただけ。コーヒーカップはちゃんと小さな銀盆(といってもステンレス製だけど)に載せられてたけれど、例の「スプーンを載せた水のグラス」は無し。水は普通の日本の喫茶店と同じで最初に持って来られる。

メニューを見るとブラウナーの他に、メランジェ、アインシュペンナーといったものから、モーツァルト、マリア・テレジアといったリキュール入りのものまでなかなかのバラエティ。食事もカレーやハヤシライスに混じってグラーシュもあり、ザッハ・トルテもある。なかなか頑張ってますねぇ。もっとも昼食後に飛び込んだので、食べ物はパスしたけれど。それにちょっと気になるのは、「カフェ・ブラウナー」(ただのブレンド・コーヒーだけど)が余りおいしくなかったこと。大丈夫かな?
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店はGiraud(ジロー、個人的にはちょっと懐かしい)の系列らしい。確か「カフェ・モーツァルト」もジロー系列じゃなかったかな? あそこにも「ザッハ・トルテ」があった。

内装の雰囲気は名前に似て、茶系で纏められて椅子やテーブル(角)はそこそこ高級感はあるものの、どこかありきたりの感じがして今ひとつ腑に落ちない。きっとトーネットの曲げ木椅子に丸テーブル辺りで纏めて貰えるともう少し雰囲気が出るのだろうけれど

ということで、今ひとつ中途半端な感じがしないでもないが、とりあえず今度はグラーシュ辺りも試してみよう。

カフェ ブラウナー
住所: 東京都千代田区神田佐久間町1-6-5 アキバトリム2F
電話番号: 03-5209-2530
営業時間: 7:00〜22:30
http://www.giraud.co.jp/brawner/