オペラ #3 「椿姫」(ハンガリー国立歌劇場)

ブダペストに到着。この街に来たのは実は2回目。前回は20年位前。その時はオペラは観られずにリスト音楽院のホールで演奏会を聴いた。あのホールも素敵だったけど。

ウィーンからの列車は丁度3時間で昼頃にブダペストに着いた。午後は早速オペラハウスを下見に。

■チケット
実は下見というより、チケットを「確認」しにオペラハウスのボックスオフィスへ。チケット自身はオペラハウスのサイトからリンクされたチケット取扱い会社のサイトで予め購入。この辺りはウィーンと変わらない。ただ違うのは、オンラインで支払い処理をするとそのまま「チケットを自分で印刷しろ」という指示が出て、若干のインストラクションと一緒にチケットの券面がレイアウトされたものが印刷出来る。それをチケットとして公演に持参しろという指示。

何だか心許無いので、ボックスオフィスに行って「本物のチケットに換えられないか?」と尋ねたら「それが本物だ」とにべもない返事。考えてみたら、個々のプリントアウトを「オリジナル」とする以上、窓口で更にチケットを出したら二重発券になってしまうものね。本番に行くと、バーコード・リーダーを持つ係りが居て、券面のバーコードを確認してチェックイン。なかなかハイテクですね。ただ確認したらチョッと破りを入れて済ませるところが、随分ラフ。スタンプくらい押したら、と突っ込みたくなる。
◆オンラインで買ったチケットは自分でプリントして持参するシステム。券面だけじゃなく、インストラクションも印刷されてしまう。実際にはA4縦サイズ。

■そしてオペラハウス
ボックスオフィスでのやり取りはあっけなく終ったが、すぐに(15時)見学ツアーがあるのを発見。ムジークフェラインの時といい、かなりタイミングが良い。ここは毎日15時と16時に見学ツアーがあるという。「ハンガリーマジャール)語」「ドイツ語」「イタリア語」「フランス語」「英語」の5グループに分かれて回る。オペラもさることながら、オペラハウス自体が貴重な観光資源ということらしい。

事実とても豪華な造り。建物の外観は、ウィーンのシュターツオパーの方が軽やかな感じがして僕はそちらの方が好きだが、中の豪華さはさすがにこちらの方が凄い。第2次世界大戦時には爆撃は受けたものの直撃弾は不発で被害は最小限に済んだそうで、ほぼオリジナルのまま残っているという。外観のいかめしさから、こちらの方がウィーンのシュターツオパーより規模が大きい様に思えたが、収容人員はこちらの方がウィーンより若干少ないという。但し立見席を設けない分だけだそうだが。このオペラハウスはオーストリア・ハンガリー二重帝国統治下で国立劇場として建てられたので(1885年開設)、ウィーンより大きな物を造るのは認められなかったということらしい。(ガイド氏の説明)





■オペラ「椿姫」

Monday, 4 May 2009
Magyar Allami Operahaz (Hungarian National Opera House)
La Traviata
Opera in three Acts
Composer: Giuseppe Verdi
Librettist: Francesco Maria Piave
Director: Bekes Andras
Set Designer: Feher Miklos
Costume: Schaffer Judit
Choreographer: Locsei Jeno
Choir Master: Szabo Sipos Mate
Conductor: Miguel Gomez-Martinez
Violetta Valery: Elena Mosuc
Flora Bervoix: Gemes Katalin
Annina: Santa Jolan
Alfred Germont: Charles Castronovo
Georges Germont: Renato Bruson

ヴィオレッタ役は黒髪の少し小柄なソプラノ。キャスト表をキチンと見ていなかったので、最初は遠目に東洋人かと思ったほど。実は、エレーナ・モシュクというルーマニア人のソプラノ。良く声が通る好ましい歌手。それに比べるとアルフレード・ジョルモン役のチャールズ・カストロノーボ(アメリカ人のテナー)は最初調子が出なかったのか、モシュクと比べると声が途中で落ちてしまう感じがした。後半はキチンと聞こえてきたと思うが、こっちの聴き慣れないせいかな?

エレーナ・モシュクについて調べたら、去年の8月に「椿姫」(タイトルロール)、11月に「ドン・ジョバンニ」(ドンナ・アンナ役)で新国立劇場に出ている。特に「椿姫」は上岡敏之の指揮。実はこの人の指揮で新日本フィルR.シュトラウスのプログラムを、この旅行の直前4/27にサントリーホールで聴いた。とても小気味良い演奏で好感が持てた。その事に気付く前に二人の演奏がそれぞれ気に入ったので「つながり」を知って、ちょっと嬉しい気持ち。

もうひとりの聴きどころは、ジョルジョ・ジェルモン(アルフレードの父親)役のレナート・ブルゾン。カーテンコールでモシュクと共にひと際大きな拍手を受けていたので、ハンガリーの地元の歌手かなんて考えていたら、大変に有名なイタリア人の「ヴェルディ・バリトン」の第一人者だそうです。何ともう73歳。知らないというのは恐ろしい。ということで、過去の、あるいは他のパフォーマンスは知らないけれど、とにかくモシュクとこの人の「ふたり舞台」という印象。

オケも良かったし、外見だけでなく、とても良い音のするオペラハウスではないかしら。 初めてのところだけれど、なかなかいいものを聴かせて貰った。

【追記】
指揮者のミゲル・ゴメス-マルティネスという人も、2004年から3年連続で新国立劇場で振っているらしい。
◆本日の席(前列一番左)とそこからの眺め

◆ボックス席後ろの通路  更に通路を挟んで控え室の様な部屋に過去の公演の展示 赤いクロスの壁が印象的

◆カーテンコール