第5回ウィーンフィル定期演奏会 (ムジークフェライン)

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Samstag, 11. Janner 2014  15.30

Musikverein, Grosser Saal

5. Abonnementkonzert

Dirigent Riccardo Chailly

Orchester Wiener Philharmoniker

Violine Leonidas Kavakos

Programm:

Jean Sibelius

Finlandia, op. 26

Konzert fur Violine und Orchester in d-Moll, op. 47

Anton Bruckner

Symphonie Nr. 6 in A-Dur, WAB 106

 シベリウスのコンチェルトは、ジネット・ヌブー以来女性奏者ばかり聞いていたけれど(主に録音モノの話)、今回のソロは、ギリシャ人のレオニダス・カヴァコス。シベリウス・コンクールの優勝者で、通常版(確定稿)の録音は勿論、一般には公開されていない初稿譜を親族に特別の許可を得て録音したというから、このコンチェルトへの造詣は深いのだろう。演奏は、1,2楽章は内省的な印象を受けたけれど、終楽章は思いの外アグレッシブで、附点音符のリズムは転んでしまわないかと思うほど前のめり。ソリストとしてはかなりアクションの小さい人だが、ダイナミックレンジも広いし、見ている感じと出ている音がアンバランスな感じさえする。終わった後は、カーテンコールで4回ほど呼び出されてアンコールも披露した。弾いた曲は、あのかわいいバッハのガボット。それをスタンドカラーの黒ずくめスーツに髭の男が、音を確かめる様にぎこちない感じで弾くので、思わず微笑んでしまう。

メインはブルックナーの交響曲第6番。正直に言うと、僕はブルックナーの交響曲には余り馴染みがない。理由は余り突き詰めたことはないが「何だか全奏が多過ぎる、掴み難い、退屈」という印象があった。まぁ余りにも断片的かつ乱暴な印象ですけどね。ブルックナーを生で聞くのも今回が初めて。

結論から言えば、やはり生で聞かなきゃダメですね。交響曲とは言えどこかで旋律を追いかけていることが多いけれど、ブルックナーは本当に響きの音楽だと思うし、生で聞くとその響きが、そして響きの中で違う楽器がいろいろな事をやっているのが聞き取れて、面白い。やはり凡百のオーディア装置だけで「ブルックナーは」と語ってみても(良きにつけ悪しきにつけ)始まらない、という気がする。ウィーン・フィルというオケで、ムジークフェラインという演奏会場で聴くから余計にそれを感じられるのかも知れないが。今更「初めてのブルックナー体験」だけれど、幸せでした。

今回の席は、舞台に向かって下手の「パルテレ-ロジェ8」。平土間から階段を上がって一段高くなったサイドの席。ロジェというから本来はボックス席の意味だけど、仕切りはロープ1本なので、実質は「バルコン(バルコニー)」と言っていい。

席からは平土間の客席が一望出来る。この演奏会は朝11時からなので、窓から外光が入って独特の雰囲気を作る。勿論直射光ではないが、陽が差したり陰ったりすれば、中も明るくなったり陰ったりするので思わぬ効果がある。勿論演奏の響きとシンクロしている訳はないが、ところどころそんな錯覚を覚えるのだ。

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ウィーン・フィルの定期演奏会はネットでは買えないので、エージェントに頼むのだが、お世話になったのはココ。今回初めて頼んでみたが、メールの受け答えも親切で、料金設定も現地エージェントの費用、日本側の費用とよく判る様になっているのが有難い。結果としては、いつも使っていたエージェントに比べて幾分か安く上がった。

それにしても、今回の席はいつにも増してアウェー感が高かった。小さい椅子が隙間なく並べられているところに殆ど隣りの人と触れんばかりに座るのだけれど、周りは全て定期会員の様で(私の席も定期会員が売りに出したもの)、そこかしこで挨拶が交わされ、何だか私が間に居て邪魔をしている様で申し訳無かった。ご婦人方が多かったせいもあり、本当に香水にむせた。(それだけ「良い席」ということで、贅沢を言っちゃいけませんが)

さて、これにて今回のウィーンは見納め、聞き納め。ほぼ丸2日の滞在で、オペラを二つ、定期演奏会に室内楽演奏会、とウィーンフィルの音楽を堪能した。もはやウィーンで他の観光に時間を費やす気もなく、合間には街を歩きカフェで寛ぐだけなので、思ったよりゆっくり出来た。ちょっとこのパターンが定番になりそう。

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