ロストロポーヴィッチのこと

「ロストロポーヴィッチが死んだ」と、まじっくばすーん氏のブログが教えてくれた。
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NYタイムスは著名人の訃報に際して、故人の経歴を詳細に紹介する記事を書く。今回もウェブで3ページを割いてロストロポーヴィッチの訃報を伝えている。

それに依ると、1月末にパリで入院し、その後モスクワに移って入退院を繰返し、発表されなかった死因については「腸ガンと考えられる」としている。3月下旬にクレムリンで催された80歳の誕生パーティーには出席したというから、急に悪化したのか?

とにかく「ロシア人らしい」精力と情熱の人だったという。1987年にニューヨークで60歳の誕生日を記念するコンサートを5夜に渡って行った時には、3 つのオーケストラ(ニューヨーク・フィル、ボストン交響楽団、ナショナル交響楽団)と共演して、15曲のチェロ協奏曲を演奏し、幾つかの交響曲とブリテン の「戦争レクイエム」を指揮して、更にバッハの無伴奏チェロ組曲(全6曲)まで演奏した、というエピソードを紹介している。

また茶目っ気あふれる人であったとも。チェロのリサイタルで伴奏者の楽譜に、ヌード写真を貼り付けて驚かせたり、アイザック・スターンの70歳のバース デー・コンサートには、サン=サーンスの「白鳥」を演奏するのに、白タイツにチュチュ、更には白鳥の被り物に真っ赤な口紅まで付けて出て来たという。

小澤さんとの仲の良さも、良く知られた話だ。実際、私の覚えているロストロポーヴィッチの最後の映像は、彼と小澤征爾が若い演奏家を引き連れて、田舎に「出前コンサート」をしに行くという話だった。「この活動は、スラヴァに言われて始めたんだ」と小澤さんが説明してい た。

今更、私がロストロポーヴィッチの音楽について語っても仕様がない。CDラックを探したら、彼のCDが4、5枚出て来た。今はドボルザークのコンチェルト を聞いている。バッハの「無伴奏チェロ組曲」のレーザ・ディスクも日本から持って来ている。この週末は、この辺りを見聞きすることでロストロポーヴィッチを偲ぶことにしよう。

【追記】
日本では、ロストロポーヴィッチの生誕80歳を記念した映画が封切られたんですね。今度の事が、この映画の宣伝になるというのはちょっと複雑な気分だけど。映画のウェブサイトの「最新情報」ではまだ死亡は伝えてないけれど、3月下旬の誕生パーティーの模様を伝えたビデオクリップが載っていますね。もう相当に痩せているけれど、立ってスピーチをしている模様。これが本当に最後の映像なんでしょうね。